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期限の利益喪失

まず、「期限の利益」とは、分割払いなど、支払い期間に猶予をもらうことです。

例えば、金融機関でローンを組んだ場合に、貸した側(金融機関)は、月々に利息という利益を得て、借りた側は、すぐに返済せずに分割して払えばいいという「期限の利益」を得ます。

それでは、離婚の慰謝料を分割払いにする場合はどうでしょう。

慰謝料には利息を付けませんので、金融機関のローンとは若干異なりますが、分割払いということで、期限の利益は存在することになります。

さて、この期限の利益ですが、約束を破ったら喪失させることが出来ます。

これを「期限の利益喪失」と言います。

例えば、不動産をローンで購入した場合に、「支払いが3回滞った場合は全額返済する」という約定などが、期限の利益喪失になります。

ローンを組んだときの契約書には、これら期限の利益喪失に関する条件が詳しく記載されています。

しかし、離婚における慰謝料は、協議離婚であれば、誰も契約書を作ってはくれません。
自身で離婚協議書や公正証書を作成することになります。

そこで注意すべき点は、慰謝料が一括なのか分割なのかです。

一括であれば、支払期限を決めておけば、それを過ぎて不払いなら、全額の支払い請求が出来ます。

しかし分割の場合は、支払期限を過ぎた分しか請求することが出来ません。

例えば、毎月5万円の分割で、支払いが2か月分滞ったとしましょう。それを法的に請求したい場合は、2か月分の10万円しか請求できません。

これでは、支払いが滞る度に毎度請求が必要になってしまいます。

それは大変ですので、回避するために、離婚の契約書の中にも期限の利益喪失の条文を入れます。

以下が条文例です。

第○条 甲が、次の各号の一つにでも該当した場合には、乙からの通知催告がなくても、甲は当然期限の利益を失い残金全額を直ちに支払う。

(1)第○条の分割金の支払を1回以上怠ったとき
(2)他の債務につき、強制執行(仮差押えを含む)を受けたとき
(3)他の債務につき、競売又は破産の申立てがあったとき
(4)住所を変更し、その旨を乙に通知せず,その住所が判明しなくなったとき

以上のような条文が含まれていれば、一つでも該当した場合には、全額を請求することができます。

強制執行も一度の手続きで済みますので、分割払いがあれば、盛り込んでおきましょう。

なお、養育費につきましては、上記のような記載が無くとも、一度でも支払いが滞った場合は、将来に渡って給与差押え等の強制執行が出来るように法改正がなされています。

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